コラム「足あとを灯す」〜第3編 【視線と見守りと】
足跡を灯す 第3編 【視線と見守りと】
保育や幼児教育の現場において、排泄時のプライバシーへの配慮と、健康観察や安全確保をいかに両立させるかという問題は、日々直面する切実な葛藤の一つです。子どもの羞恥心や個人の尊厳を守るために仕切りを高くし、完全に視線を遮断してしまうと、排便の状態や尿の色といった重要な健康状態の把握が難しくなり、人手不足の現場では万が一の事故を防ぐ見守りが届かなくなってしまいます。
単なる「完全な遮断」か「プライバシーのない開放」かという極端な二者択一に陥るのではなく、現場にはきめ細やかな知恵と工夫が求められます。たとえば、大人からは温かな視線が無理なく届いて健康観察ができ、子ども同士の横からの視線は優しく遮ることができる腰高のパーテーションの導入など、柔軟な環境設定がその一例です。限られた人手や施設環境の中で、子どもの尊厳を守りながら、同時に命と健康をどのように確実に守り育んでいくのか。正解を一つに決めつけることなく、現場の職員とともに悩み、対話を重ねながら最善の道を模索し続ける姿勢が大切です。(理事長)